
「入れ歯をつけると痛くて、食べにくい」
「食べるときだけ、入れ歯を外してもよいのだろうか」
このような悩みから、入れ歯を外して食事をしている方もいるのではないでしょうか。
入れ歯には、失った歯を補い、食べ物を噛みやすくする役割があります。
そのため、部分入れ歯・総入れ歯のどちらも、基本的にはつけたまま食事をします。
ただし、歯ぐきに当たって痛い、食事中に浮く・外れるといった場合は、無理に使い続ける必要はありません。
食事のときだけ外して済ませるのではなく、歯科医院で痛みやズレの原因を調べてもらうことが大切です。
この記事では、入れ歯など、失った歯を補う治療を専門とする日本補綴歯科学会専門医の田口耕平による監修のもと、食事中に入れ歯を外すことで起こりうる問題をわかりやすく解説します。
あわせて、入れ歯で食べにくい原因や、食べやすくする工夫も紹介します。
入れ歯の調整・作り直し・インプラントの違いも取り上げますので、今の悩みに合った解決方法を考える際にお役立てください。

監修
田口 耕平
歯科医師/北戸田COCO歯科 院長
日本補綴歯科学会専門医/国際口腔インプラント学会認定医
本記事は、入れ歯・インプラントに関する医療情報の正確性や表現の妥当性について監修を受けています。
1:入れ歯は食事のときだけ外してもいい?

入れ歯は、基本的につけたまま食事をします。
入れ歯は見た目を整えるだけでなく、失った歯の代わりに食べ物を噛むためのものです。
部分入れ歯は、食事中に外れないよう、残っている歯にバネなどをかけて固定します。
一方、総入れ歯は、歯ぐきや顎の粘膜に密着させて安定するようにつくられています[1]。
どちらも食事で使うことを前提につくられているため、痛い・噛みにくいといった理由があっても、食事のたびに外すことを習慣にするのはおすすめできません。
ただし、強い痛みや歯ぐきの傷がある場合は、無理につけ続ける必要はありません。
歯科医師から装着方法について個別の指示を受けている場合も、その指示を優先してください。
入れ歯を外さなければ食べられない状態は、入れ歯が合っていないサインの可能性があります。
食事の工夫だけで済ませず、歯科医院で確認してもらいましょう。
1-1:十分に噛めず食べられるものが限られやすい
入れ歯を外すと、残っている歯や歯ぐきだけで食べ物を噛むことになります。
とくに奥歯がない場合は、食べ物を細かくすりつぶすことが難しくなります。
その結果、次のような変化が起こることがあります。
- 肉や野菜などを避けるようになる
- やわらかいものばかり選ぶ
- 食事に時間がかかる
- 左右のどちらか一方だけで噛む
- 食べられる料理や外食先が限られる
噛む力が低下すると、食べられるものが限られ、栄養バランスのよい食事を取りにくくなることもあります[2]。
「入れ歯を外せば食べられるから大丈夫」と考えず、入れ歯をつけた状態で噛めるように調整することが大切です。
1-2:食べ物を大きなまま飲み込むと窒息につながることがある
入れ歯を外して十分に噛めないまま食べると、食べ物を大きな状態で飲み込んでしまうことがあります。
厚生労働省の研究では、高齢者の窒息と関係する要因の一つとして、奥歯で噛み合う部分がないことが挙げられています。
また、窒息を防ぐ対策として、入れ歯によって噛み合わせを補うことの重要性も示されています[3]。
入れ歯を外して食べたからといって、必ず窒息するわけではありません。
しかし、食べ物を十分に噛み砕けない状態は、窒息につながる可能性があるため注意が必要です。
入れ歯をつけると痛くて食事ができない場合は、硬いものを避け、やわらかく調理したものを少量ずつ食べましょう。
ただし、これは歯科医院を受診するまでの一時的な対応です。
入れ歯をつけて安全に食事ができるよう、早めに調整を受けることが大切です。
2:部分入れ歯は食事のときだけつければいい?


部分入れ歯は、食事のときだけでなく、基本的には日中もつけて過ごします。
部分入れ歯には、食べ物を噛みやすくするだけでなく、会話をしやすくする、見た目を補うといった役割もあります。
また、歯を失った部分を補うことで、残っている歯や噛み合わせのバランスを保つことにもつながります。
ただし、適切な装着時間は、歯ぐきや残っている歯の状態、入れ歯を作った時期などによって異なります。
「食事中だけつける」「一日中つけたままにする」と自己判断せず、歯科医師から伝えられた装着方法を守ることが大切です。
2-1:食事以外も歯科医師に指示された時間は装着する
部分入れ歯は、一般的には朝に装着し、日中はつけて過ごします。
食後は入れ歯を外し、残っている歯と入れ歯の両方を清掃します。
就寝前に外すのが基本ですが、お口の状態によっては、寝ている間も装着するよう指示される場合があります[4]。
また、新しい部分入れ歯を使い始めたばかりのときや、抜歯後すぐに入れ歯を装着したときは、通常とは異なる指示を受けることがあります。
装着時間については、次の点を歯科医師に確認しておくと安心です。
- 日中はどのくらい装着するのか
- 食後はどのように手入れするのか
- 就寝時は外すのか
- 痛みが出たときはどうするのか
- 次の調整までどのように使うのか
部分入れ歯をつけると痛い場合に、装着時間を自己判断で減らすだけでは、原因の解決になりません。
痛みや違和感が続く場合は、入れ歯を使う時間で調整するのではなく、歯科医院で入れ歯そのものを確認してもらいましょう。
2-2:部分入れ歯を使わないと残っている歯や噛み合わせに影響することがある
部分入れ歯を長期間使わず、歯がない部分をそのままにすると、残っている歯が少しずつ動くことがあります。
たとえば、次のような変化です。
- 歯がない場所へ隣の歯が傾く
- 噛み合っていた反対側の歯が伸びてくる
- 上下の噛み合わせが変わる
- 一部の歯に負担が偏る
- 部分入れ歯が入りにくくなる
日本歯科医師会と日本補綴歯科学会も、歯を失った状態が続くと、隣の歯が傾いたり、反対側の歯が伸びたりして、噛み合わせが変わることがあると説明しています[5,6]。
ただし、部分入れ歯を数時間外しただけで、すぐに歯が動くわけではありません。
影響の出方は、失った歯の本数や場所、残っている歯の状態によって異なります。
食事のときだけ部分入れ歯を使っている方は、現在の使い方を続けてよいか、一度歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
3:入れ歯で食べにくい4つの原因

入れ歯で食べにくい原因は、入れ歯のズレや噛み合わせだけとは限りません。
主な原因として、次の4つが挙げられます。
- 入れ歯が歯ぐきに合っていない
- 噛み合わせがずれている
- 入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が挟まる
- 新しい入れ歯に慣れていない
原因によって必要な対応は異なります。食べ方を工夫しても改善しない場合は、歯科医院で入れ歯と口の中を確認してもらいましょう。
3-1:入れ歯が歯ぐきに合っていない
入れ歯は、歯ぐきや顎の形に合わせてつくられています。
しかし、歯を失ったあとの歯ぐきや顎の骨は、時間とともに少しずつ形が変わります。
そのため、作ったときには合っていた入れ歯でも、次第に隙間ができることがあります。
隙間ができた入れ歯は、食事中に動きやすくなり、歯ぐきへの痛みや食べにくさにつながります。
とくに総入れ歯は、歯ぐきや顎の粘膜に密着させて安定させるため、口の中の形が変わると影響を受けやすくなります。
以前は問題なく使えていた入れ歯が、最近になって浮く・外れるようになった場合は、歯ぐきとの間に隙間ができている可能性があります。
入れ歯の裏側を補う処置や、作り直しが必要か確認してもらいましょう[4,7]。
3-2:噛み合わせがずれている
入れ歯の噛み合わせがずれていると、食べ物を噛んだときに力が均等にかかりません。
入れ歯の一部が浮いたり、歯ぐきに強く当たったりして、うまく噛めなくなることがあります。
入れ歯に使われている人工の歯も、長く使ううちに少しずつすり減ります。
すり減り方によっては、作った当初より噛み合わせが変わり、食事中に入れ歯が動きやすくなります[7]。
噛み合わせのずれは、自分で見ても分かりにくいことがあります。
「片側だけ噛みにくい」「噛むと入れ歯が動く」と感じる場合は、歯科医院で噛み合わせを確認してもらいましょう。
3-3:入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が挟まる
入れ歯と歯ぐきの間に隙間があると、食事中に食べ物が入り込むことがあります。
細かな食べかすが挟まった状態で噛むと、歯ぐきが刺激され、痛みや傷につながることがあります。
とくに、ゴマやイチゴの種、細かく刻んだ野菜など、小さなものは入れ歯の下に入り込みやすいため注意が必要です。
食べ物が挟まったときは、入れ歯を外して水で流し、口の中も清潔にしましょう。
入れ歯には食べかすや細菌が付着するため、食後の清掃が大切です[8]。
食事のたびに食べ物が挟まる場合は、清掃だけで済ませず、入れ歯が合っているか確認してもらう必要があります。
3-4:新しい入れ歯に慣れていない
新しい入れ歯を入れた直後は、噛み方や舌の動かし方に慣れておらず、食べにくいと感じることがあります。
とくに総入れ歯は、部分入れ歯よりも歯ぐきや上顎を覆う範囲が広いため、異物感や噛みにくさを感じることがあります。
新しい入れ歯で以前と同じように食べられるようになるまでの期間には、個人差があります。
最初はやわらかいものから始め、少しずつ新しい噛み方に慣れていくことが大切です[4,9]。
ただし、入れ歯は使い続ければ、自然に歯ぐきに合うようになるものではありません。
強い痛みがある場合や、同じ場所に繰り返し傷ができる場合は、我慢せず調整を受けましょう[9]。
4:入れ歯で食べやすくする4つの工夫

入れ歯で食べにくいときは、食材の大きさや硬さ、噛み方を工夫すると、負担を減らせることがあります。
ただし、強い痛みやズレがある場合は、食べ方だけで解決しようとせず、歯科医院で入れ歯の状態を確認してもらうことが大切です。
4-1:食材を小さめ・薄めにする
食材は、一口で無理なく噛める大きさに切りましょう。
肉や野菜など噛み切りにくいものは、薄く切ったり、繊維を断つように切ったりすると食べやすくなります。
食材ごとの工夫は次のとおりです。
| 食材 | 食べやすくする工夫 |
|---|---|
| 肉 | 筋を切り、薄め・小さめにする |
| 魚 | 骨を取り除き、ほぐして食べる |
| 野菜 | 繊維を断つ向きに切る |
| 果物 | 皮をむき、薄切りや一口大にする |
ただし、細かくしすぎると、入れ歯の下に入り込みやすくなる食材もあります。
食べやすい大きさは入れ歯の状態によって異なるため、少しずつ試してみましょう。
4-2:やわらかいものから少しずつ慣らす
新しい入れ歯を使い始めたときは、いきなり硬いものを食べず、やわらかいものから慣らします。
食材は、次のような方法でやわらかくできます。
- 煮る時間を長くする
- 蒸してやわらかくする
- 肉の筋を切る
- とろみをつけて口の中でまとめやすくする
最初は豆腐、卵料理、煮魚、やわらかく煮た野菜などから試し、問題なく噛めるようになったら、少しずつ硬さを戻していきましょう[4,9]。
ただし、痛みを我慢して硬いものに挑戦する必要はありません。
やわらかいものでも痛む場合は、入れ歯の調整が必要な可能性があります。
4-3:奥歯で少量ずつゆっくり噛む
入れ歯で食べるときは、一度にたくさん口へ入れず、少量ずつゆっくり噛みましょう。
前歯で硬いものを噛み切ろうとすると、入れ歯が動くことがあります。
新しい入れ歯に慣れるまでは、小さく切った食べ物を奥歯に置き、ゆっくり噛み始めるのがポイントです[4]。
噛みやすい側だけを使い続けると、一部の歯や歯ぐきに負担が偏ることがあります。
片側だけで噛む癖がある場合は、入れ歯が左右で同じように噛める状態か、歯科医院で確認してもらいましょう。
入れ歯が浮く・外れるために奥歯で噛めない場合は、噛み方ではなく入れ歯の調整が必要な可能性があります。
4-4:食べ物が挟まったら入れ歯と口の中を清潔にする
入れ歯の下に食べ物が挟まったまま噛み続けると、歯ぐきが傷つくことがあります。
違和感があるときは、一度入れ歯を外し、水で食べかすを洗い流しましょう。
食後は入れ歯専用のブラシを使い、入れ歯の表面やバネの周りも清掃します。
部分入れ歯の場合は、残っている歯にも食べかすや汚れが付きます。
入れ歯だけでなく、歯と歯ぐきも丁寧に磨いてください[8]。
食事のたびに同じ場所へ食べ物が挟まる場合は、入れ歯と歯ぐきの間に隙間ができている可能性があります。
清掃だけで済ませず、歯科医院へ相談しましょう。
5:入れ歯の調整を受けたほうがよい症状

入れ歯の使い始めには、軽い違和感が出ることがあります。
しかし、痛みやズレを我慢して使い続けると、歯ぐきの傷が悪化する可能性があります。
次のような症状がある場合は、食べ方だけで対処せず、歯科医院で入れ歯の状態を確認してもらいましょう。
5-1:噛むと痛い・歯ぐきに傷や腫れがある
噛むたびに同じ場所が痛む場合は、入れ歯の一部が歯ぐきへ強く当たっている可能性があります。
痛みを我慢して使い続けると、歯ぐきに傷ができることがあります。
傷ができた状態では、入れ歯を調整しても、傷が治るまで痛みが残る場合があります[4]。
次のような症状がある場合は、早めに相談してください。
- 噛むたびに同じ場所が痛む
- 入れ歯を外すと歯ぐきが赤くなっている
- 歯ぐきに傷や腫れがある
- 出血している
- 痛くて入れ歯をつけられない
入れ歯を自分で削ったり、部分入れ歯のバネを曲げたりしてはいけません。
入れ歯がさらに合わなくなったり、壊れたりする可能性があるため、歯科医院で調整を受けましょう[10]。
5-2:食事中に入れ歯が浮く・外れる
食べ物を噛むたびに入れ歯が浮く、口を動かすと外れるといった場合は、入れ歯が安定していない可能性があります。
考えられる原因には、次のようなものがあります。
- 歯ぐきや顎の形が変わった
- 入れ歯の人工歯がすり減った
- 噛み合わせがずれている
- 部分入れ歯のバネがゆるんだ・壊れた
必要な対応は原因によって異なり、調整や修理で改善できる場合もあれば、作り直したほうがよい場合もあります[7]。
舌や頬で入れ歯を押さえながら食べている場合も、調整を検討するサインです。
5-3:食べ物が頻繁に入れ歯の下へ入る
入れ歯の下に食べ物が頻繁に入る場合は、入れ歯と歯ぐきの間に隙間ができている可能性があります。
食べかすが挟まったまま噛むと、歯ぐきが刺激されて痛みや傷につながります。
食後に清掃しても毎回同じ場所へ挟まる場合は、手入れの問題だけとは限りません。
入れ歯の裏側を補う処置や、入れ歯の作り直しが必要なこともあるため、歯科医院で隙間の状態を確認してもらいましょう[7]。
5-4:入れ歯安定剤がないと食事ができない
入れ歯安定剤は、入れ歯の動きを一時的に抑えるために使われることがあります。
しかし、合わなくなった入れ歯を根本的に直すものではありません。
東京科学大学は、入れ歯は安定剤なしで使うことを想定してつくられており、歯科医師の指示なく使用しないよう案内しています[4]。
入れ歯安定剤がないと食事ができない場合は、次のような問題が隠れている可能性があります。
- 入れ歯と歯ぐきの間に隙間がある
- 噛み合わせがずれている
- 入れ歯が変形・破損している
- 部分入れ歯のバネが合っていない
安定剤の量を増やして使い続けるのではなく、入れ歯が合っているか歯科医院で確認してもらうことが大切です。
6:入れ歯による食事の悩みを改善する3つの治療法

入れ歯で食べにくい場合は、主に次の3つの治療法があります。
- 現在の入れ歯を調整・修理する
- 新しい入れ歯を作る
- インプラントを検討する
どの治療法が適しているかは、入れ歯の状態だけでは決められません。
歯ぐきや顎の骨、残っている歯、噛み合わせなどを調べたうえで判断します。
まずは現在の入れ歯を活かせるか確認し、調整や修理で改善が難しい場合に、作り直しやインプラントを検討するのが基本です。
6-1:現在の入れ歯を調整・修理する
入れ歯の痛みやズレは、調整・修理によって改善できる場合があります。
歯科医院で行う主な処置は次のとおりです。
- 強く当たっている部分を調整する
- 噛み合わせを整える
- 入れ歯の裏側に材料を足して、歯ぐきとの隙間を埋める
- 壊れた部分や部分入れ歯のバネを修理する
入れ歯の裏側に材料を足し、歯ぐきへ合うように直す処置を「裏打ち(リライン)」といいます。
入れ歯の劣化や破損が少なく、歯ぐきの変化も小さい場合は、調整や修理で引き続き使える可能性があります[7,11]。
ただし、痛みの原因が噛み合わせにある場合、入れ歯の内側を削るだけでは改善しません。
自分で削ったりバネを曲げたりせず、歯科医院で原因に合った処置を受けましょう[10]。
6-2:新しい入れ歯を作る
現在の入れ歯を調整・修理しても改善が難しい場合は、新しい入れ歯を作ることがあります。
作り直しを検討する主なケースは次のとおりです。
- 歯ぐきや顎の形が大きく変わっている
- 人工の歯がすり減り、噛み合わせが大きくずれている
- 入れ歯が変形している
- 入れ歯やバネが大きく壊れている
- 調整や修理を繰り返しても痛み・ズレが改善しない
入れ歯には、保険診療と自由診療の選択肢があります。
使用できる材料や構造などに違いはありますが、自由診療の入れ歯を選べば、必ず食事の悩みがなくなるわけではありません。
まずは口の状態を詳しく調べ、どのような入れ歯が適しているか説明を受けましょう。
また、新しい入れ歯も、完成した直後から何でも問題なく食べられるとは限りません。
使い始めはやわらかいものから慣らし、必要に応じて調整を重ねます[4,9]。
6-3:インプラントを検討する
入れ歯のズレや異物感が強く、固定式の治療を希望する場合は、インプラントも選択肢になります。
インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取りつける治療です。
入れ歯のように歯ぐきの上へ置くのではないため、食事中に動いたり外れたりしにくい特徴があります。
また、残っている歯へバネをかける必要がなく、天然歯に近い機能や見た目の回復を目指せます[12]。
一方で、次のような注意点もあります。
- 手術が必要
- 原則として自由診療
- 治療期間がかかる
- 顎の骨や全身の状態によっては治療が難しい
- 治療後も歯磨きと定期的な管理が必要
「入れ歯で食べにくいから、すぐインプラントにする」と決める必要はありません。
現在の入れ歯を調整できる可能性や、インプラントのメリット・デメリットを確認し、希望に合う治療法を選びましょう。
7:入れ歯とインプラントでは食事にどのような違いがある?
インプラントは顎の骨に固定するため、入れ歯よりも食事中に動きにくく、しっかり噛みやすい治療法です[12]。
一方、入れ歯は取り外して清掃でき、外科手術を受けずに失った歯を補えます。
食事に関係する主な違いは、次のとおりです[1,12]。
| 比較する項目 | 入れ歯 | インプラント |
|---|---|---|
| イメージ図 | ![]() | ![]() |
| 固定方法 | 歯ぐきの上にのせる | 顎の骨に固定する |
| 食事中の安定性 | 浮く・外れることがある | 動きにくい |
| 噛んだ感覚 | 違和感が出ることがある | 自分の歯に近い感覚を得やすい |
| 食べ物 | 硬いものなどを食べにくい場合がある | 食べ物の制限が比較的少ない |
| 食後のお手入れ | 取り外して清掃する | 口の中で清掃する |
入れ歯でも、お口の状態に合うように調整されていれば、さまざまな食事を楽しめます。
そのため、入れ歯で食べにくいからといって、すぐにインプラントへ変更しなければならないわけではありません。
まずは、現在の入れ歯を調整・修理して改善できるかを確認します。
それでも痛みや外れやすさが改善しない場合や、入れ歯の違和感が強い場合は、インプラントも選択肢になります。
最終的にはお口と全身の状態、治療期間、費用、使用感なども比べ、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
8:入れ歯と食事についてよくある質問
入れ歯を使っている方から寄せられることの多い質問にお答えします。
8-1:Q.部分入れ歯は1日何時間つけますか?
A.部分入れ歯をつける時間に、すべての方に共通する決まりはありません。
一般的には、朝に装着して日中はつけたまま過ごし、食後の清掃や就寝前に外します。
ただし、残っている歯や噛み合わせの状態によって、適した装着時間は異なります[4]。
食事のときだけ部分入れ歯をつけている方や、痛みがあって長時間つけられない方は、自己判断で使用時間を短くせず、歯科医師に相談しましょう。
8-2:Q.入れ歯は寝るときに外しますか?
A.入れ歯は、基本的に寝る前に外して清掃します。
入れ歯を外すことで、日中に力がかかっていた歯ぐきや粘膜を休ませられます。
外した入れ歯は、乾燥による変形を防ぐため、水を入れた容器など、歯科医師から指示された方法で保管しましょう。
ただし、お口の状態によっては、就寝中も入れ歯を装着するよう歯科医師から指示されることがあります[4]。
指示を受けている場合は、その内容に従ってください。
8-3:Q.入れ歯安定剤は毎日使ってもよいですか?
A.歯科医師に確認し、使用方法と量を守っていれば、入れ歯安定剤を毎日使用できる場合があります。
ただし、入れ歯安定剤は、合わなくなった入れ歯を調整するものではありません。
入れ歯と歯ぐきの隙間が大きい状態で使い続けると、噛み合わせがずれたり、汚れがたまったりすることがあります[13]。
使用後は入れ歯と歯ぐきに残った安定剤を取り除き、清潔に保ちましょう。
入れ歯安定剤がないと食事ができない場合や、使う量が増えてきた場合は、入れ歯の調整が必要な可能性があります。
8-4:Q.入れ歯からインプラントに変更できますか?
A.入れ歯を使用している方でも、お口と全身の状態に問題がなければ、インプラントへ変更できる可能性があります。
ただし、インプラント治療ができるかどうかは、次の項目を調べたうえで判断します[12]。
- 顎の骨の量や厚み
- 残っている歯の状態
- 歯周病の有無
- 持病の有無
入れ歯で食べにくい場合でも、調整や作り直しによって改善できることがあります。
まずは現在の入れ歯を確認し、それぞれの治療法の利点と注意点を比べて検討し、気になる場合には無料カウンセリングなどを利用してみましょう!
9:まとめ|食事中に外したくなる入れ歯は歯科医院で確認しよう
部分入れ歯・総入れ歯のどちらも、基本的にはつけたまま食事をします。
入れ歯を外して食べると、十分に噛めず食べにくくなったり、食べ物を十分に噛み砕けないまま飲み込んだりすることがあるためです。
入れ歯で食べにくいときは、食材を小さく切る、やわらかく調理する、少量ずつゆっくり噛むといった工夫で、食べやすくなる場合があります。
ただし、噛むと痛い、食事中に浮く・外れる、食べ物が頻繁に入れ歯の下へ入るといった症状は、入れ歯が現在のお口に合っていないサインかもしれません。
- 部分入れ歯・総入れ歯とも、基本的にはつけたまま食事をする
- 食事中に入れ歯を外すと、十分に噛めず、食べにくくなることがある
- 入れ歯で食べにくい原因には、歯ぐきとのズレや噛み合わせ、新しい入れ歯への不慣れなどがある
- 痛みや外れやすさがある場合は、食事の工夫だけで済ませず、入れ歯の調整を受ける
- 調整で改善が難しい場合は、新しい入れ歯やインプラントも選択肢になる
食事のときだけ入れ歯を外して済ませず、歯科医院で痛みやズレの原因を確認してもらいましょう。
まずは現在の入れ歯を活かせるかを調べ、必要に応じて調整・修理や作り直し、インプラントを検討することが大切です。
10:こんな方は北戸田COCO歯科へご相談ください

北戸田COCO歯科では、入れ歯で食べにくい方や、インプラントを含むほかの治療法を検討している方からのご相談を受け付けています。
次のようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
- 入れ歯をつけると痛くて食べにくい
- 食事中に入れ歯が浮く・外れる
- 入れ歯の下に食べ物が頻繁に入る
- 入れ歯安定剤がないと食事ができない
- 入れ歯を調整・作り直しても、食べにくさが改善しない
- 入れ歯とインプラントの違いを詳しく知りたい
- インプラントの手術・治療期間・費用に不安がある
当院には、失った歯の機能や見た目を補う治療を専門とする日本補綴歯科学会専門医と、国際口腔インプラント学会認定医の両方の資格を持つ歯科医師が在籍しています。
インプラントだけを前提にするのではなく、お口の状態やご希望を確認し、入れ歯を含めた治療法を比較しながらご説明します。
インプラントをご提案する場合も、利点だけでなく、手術に伴うリスクや治療期間、費用などの注意点を事前にお伝えします。
当院では、インプラント治療についての無料カウンセリングを行っています。
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現在の入れ歯で困っていることや、治療に対する不安・疑問をお聞かせください。
当院のインプラント治療に対する考え方や設備、治療後の保証について詳しくご案内しています。
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12:この記事について
この記事は、入れ歯を食事のときだけ外してもよいか、入れ歯で食べにくいときはどうすればよいかについて、できる限り正確で分かりやすい情報をお伝えすることを目的として作成しています。
「入れ歯はつけたまま食事をする?」「部分入れ歯は食事のときだけつければよい?」「入れ歯で食べにくい原因は?」といった疑問を持つ方に向けて、公的機関や歯科関連学会、大学病院などの情報を参考に、歯科医師の監修のもと作成しています。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の診断に代わるものではありません。
入れ歯の痛みやズレ、食事のしにくさなどでお困りの場合は、歯科医院でご相談ください。
この記事は最終更新日時点の情報をもとに作成しています。
内容は、ガイドラインや歯科医療に関する知見の更新に応じて随時見直します。
13:執筆者・監修者
執筆
森崎 ことり
医療Webライター
(北戸田COCO歯科の歯科・インプラント分野の記事制作を担当)
監修
田口 耕平

歯科医師/北戸田COCO歯科 院長
- 日本補綴歯科学会専門医
- 国際口腔インプラント学会認定医
- 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修指導医
- 日本糖尿病協会登録歯科医
本記事は、医療情報の正確性や表現の妥当性について監修を受けています。
14:参考文献
本文中の[数字]は、以下の参考文献番号に対応しています。
- 公益社団法人 日本歯科医師会「入れ歯」
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会「補綴歯科ってどんな治療?」
- 厚生労働省「食品による窒息の現状把握と原因分析」
- 東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)「部分入れ歯の上手な付き合いかた」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「咬合、かみ合わせ」
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会「よくわかる補綴歯科講座(第1回)」
- 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野「入れ歯が緩い」
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会「よくわかる補綴歯科講座(第2回)」
- 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野「新しい入れ歯での食事」
- 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野「入れ歯を自分で調整」
- 愛知学院大学歯学部附属病院「入れ歯が合わない・痛い・外れる」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「インプラント」
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会「補綴歯科なんでも質問箱」
15:更新履歴
- 2021年9月16日:記事を公開しました。
- 2025年6月30日:記事の内容を更新しました。
- 2026年9月8日:タイトルと見出し構成を見直し、本文を全面的にリライトしました。入れ歯を食事中に外すことで起こりうる問題、食べにくい原因と対処法、入れ歯とインプラントの違い、参考文献などを追加・更新しました。

